正社員のリストラ回避マニュアル


安易な正社員の解雇がまかり通っています。罠にはまって後で泣かないように、十分準備しましょう。

最初にお断りしておきますが、私は法律の専門家ではなく、某メーカーのヘボ社員です。周囲のあまりの惨状を見かねてこのページを開設し、経験者とも相談して、自分の知っている限りの事を書きましたが、間違っているところも沢山あると思います。一応参考にして頂き、詳しくは各自でお調べください。このページの内容や関連して生じたあらゆることがらについて、私は一切の責任を負えませんので、その点よろしくお願いします。

声を大にして言います。正社員の方!今はどんなに辛くても、ゼッタイに辞めてはダメです。どんなに惨めでも、辛くても(あまり惨めで辛い目にあわされたら、労基署に相談できます)今の会社にしがみついて下さい。再就職先なんてありません。非正規雇用でさえ無いのに、正規雇用がある筈ありません。この状態は、最悪3年続きます。

会社は経営状況が悪化すると非常に巧妙な手段を使って社員を退職させようとします。リストラの方法をアドバイスし、手助けする専門のコンサルタント会社があるくらいです。人減らしが赤字解消の手っ取り早い方法だからです。

そこで先ず、正社員という身分について十分知ることです。つまり、スキルが低い、多少休んだ、ちょっと不真面目だ、会社が赤字だ、職場での評判が悪い、仕事でミスがあった、といった程度のことで正社員はクビにはできないのです。

また、特定派遣会社の正社員の方も、正真正銘の正社員であり、私達メーカーの正社員と全く同じ権利を持っています。「派遣だからクビも仕方無い」と考える必要は全くありません。そのうえ、派遣契約の終了を機会にクビにされやすいので、特に用心してください。

いくつかの実例によって、上品に交渉する方がうまく行くことが分かったので、それを反映した内容に変更しました。なにせ「その会社に勤め続ける」のですから、会社と仲違いしてははじまりません。穏やかに、上品に、きっぱりと断る。これが、辞めさせにくく、機嫌よく働かれてしまう社員像です。

●まず最初に…「ヤバイ」と思ったらすぐ始めること
  1. 終日の会話を録音します。MP3プレーヤ等を利用して、会社に入る前に録音を開始し、会社を出てからスイッチを切るわけです。そのデータを日付をファイル名として、PCに全て蓄積して行きます。リストラの標的にされた労働者にとって、終日の会話記録の保存は今や常識です。
  2. 証拠は全て保全します。上司からの脅迫的なメール、理不尽な指示の書類等は、印刷・複写して安全な場所に保存します。会社のPC上に保存したメールは会社の都合で消されてしまいますし、施錠したあなたの引き出しも合鍵で開けられます。証拠は自分の鞄など、安全な場所に保存します。
  3. 日記を書き始めます。希望退職制度の説明内容、退職勧奨の様子、整理解雇の説明、恫喝、退職強要、嫌がらせ、そのときのあなたの気持ちを書き綴って行きます。日付をわすれないように注意します。
  4. 弁護士会に予約して「クビになりそうだが、回避する手立てはないか」と法律相談します。相談は5000円くらいです。これで「お世話になっている先生」が出来ます。そうすれば、退職を迫られても「御世話になっている先生に相談して見ます」と話すことができます。会社も、あなたの後ろに弁護士が付いていると知れば、強引なことが出来なくなります。
●基本の考え方
  1. 「今の会社で働き続ける」が基本です。今のご時世、まともな転職先等ありません。ですから、会社とは可能な限り温和に話し合います。喧嘩腰になってしまうと、会社で楽しく働けなくなってしまうからです。謙虚で誠意ある態度で、しかし、断るべきものは、丁重に、しかし、きっぱりと断ります。これが、「クビにしにくい社員」です。
  2. 基本的にあなたが「辞めます」と言わないかぎり、会社はあなたをクビにできないと考えてください。言葉巧みに退職を奨められても、「退職する気持ちはありません」と答えます。「退職願」はサインしてはいけない書類です。
  3. 一見有利な希望退職制度でも、応募してはいけません。通常の不況であれば、業績の悪化した会社を好条件(割増退職金等)で退職し、好業績な会社に転職することができますが、今回の不況は全ての業界に及んでいます。ですから、退職すると再就職が非常に困難です。応募は、条件の良い転職先が内定している場合に限定しましょう。
  4. 会社は従業員に退職をお願いする(退職勧奨)ことはできますが、従業員はこれに応じる義務はありません。
  5. 会社があなたにしつこく退職をお願いすることは禁止されています。
  6. 会社は多少経営状態が悪くても正社員を解雇できません。解雇出来るのは「あらゆる手を尽くして、どうしてもダメなとき」だけです。しかし、あらゆる手を尽くしたかどうかは、専門家が詳しく調べなければ分かりません。会社側の説明だけで納得してはいけません。
  7. めったな事では「懲戒解雇」にはできません。犯罪を犯したとか、2週間連続で無断欠勤したとかでなければ、懲戒にはできません。
  8. ちょっとした事では「普通解雇」にもできません。仕事が下手、勤務態度不良悪い、というだけでは、解雇できません。会社がその人へ十分に指導や教育をしたのに、労働者の性格や能力のために、改善の見込みがないと判断できた時にはじめて普通解雇できるのです。
  9. たくさん休んだり、仕事の能率がとても悪かったり、十分指導されたのにちゃんと仕事できなくても、もし会社が、その前にあなたに「強い精神的、肉体的な大きな負荷」を加えていれば、それらのトラブルは、負荷のために起こったことですから普通解雇できません。
  10. 退職させるために意図的に「強い精神的、肉体的な大きな負荷」を加えることは退職強要と言って法律で禁止されています。
  11. 内容を完全に理解していない書面に署名してはいけません。「会社都合の退職手続きの書面だ」と言って渡され、実は、自己都合退職願の書面だったという場合さえあります。書面にはその場で署名あるいは捺印せず、かならず持ち帰って家族や専門家と相談してから署名します。
  12. どうしても辞めなくてはならない場合、「退職願」にサインするくらいなら「解雇」の方がましです。失業給付をすぐもらえますし、給付期間も長くなります。「会社都合(離職区分1A)」を要求しましょう。職安で離職票を確認し「1A」になってない場合は、職安から異議申し立てします。
  13. 困った時の相談場所は沢山有ります「労働基準監督署」「弁護士」「個人で加入できる労働組合」などです。「労働基準監督署」は役所なので、無料ですが対応が緩慢で弱腰です。「弁護士」は当たり外れがあり、金がかかります。「個人加入できる労働組合」は人によって合う、合わないが激しいです。法律相談程度のレベルで弁護士さんとお付き合いしておくのが無難です。
  14. 「会社と争っても勝てない」と言うのは嘘です。あなたが普通に働いていれば、大丈夫です。正社員の権利は(今の所は)法律で色々と保障されています。

●退職を奨められたときの対応の仕方



・希望退職

上司→「今月末締め切りで希望退職者を募集しているんだ。希望退職者には退職金+6ヶ月分の基本給を支払うことになっている。このチャンスを利用してはどうかな。」

あなた→「制度については分かりましたが、退職する気持ちはありません」

上司→「6ヶ月分もプラスできるのは今回だけなんだ、今後景気が悪くなったら、退職金も出せずに辞めて貰うかもしれないよ」

あなた→「ご説明の内容は理解しましたが、退職する気持ちはありません」



・退職勧奨

上司→「君は我社には向いていないよ、辞めた方が君のためになるよ」

あなた→「向いているから採用されたと思うのですが…退職する気持ちはありません」

上司→「どうして?苦労するよ?この仕事、苦手だろ?」

あなた→「退職するともっと苦労します。一家揃って路頭に迷います」



・整理解雇

上司→「このままでは会社は倒産するので、あなたを整理解雇します。この退職願を書いてください」

あなた→「整理解雇はなかなか出来ないと聞いています。我社がそのような状態になっているかどうか、御世話になっている先生に相談してみます」(もちろん退職願は書きません、整理解雇は会社都合なので、退職願は不要です。万一書いてしまうと自己都合退職となり、失業給付に制限が付きます)



・懲戒解雇

上司→「君は仕事のミスや欠勤が多いし、職場での評判も悪い。仕事への熱意が無いからこのままでは懲戒解雇になる。そうなれば再就職にも差し障るから、自己都合退職にしてあげるよ。退職願を提出しなさい。」

あなた→「退職する気持ちはありません。それと、今おっしゃった理由では懲戒解雇にならないような気がします。どうしても解雇すると仰るのであれば、私も納得が行きませんので、御世話になっている先生に相談してみようと思います」

その後も、懲戒解雇の話を持ち出して来るようなら、弁護士さんから会社に対して「あなたを懲戒解雇にする理由を教えてくれ」という書面を送ってもらいます。お金は掛かりますが、大概の懲戒解雇は言いがかりですので、これでおとなしくなります。
あなた→「どうしても解雇すると仰るのであれば、私も納得が行きませんので、御世話になっている先生に相談してみようと思います」
は基本パターンです。色々応用して下さい。


・普通解雇1

上司→「君はスキルが低く、出来る仕事が無い(派遣先が無い)から辞めてもらうしかない。スキルが低いのは君の努力不足だよ。」

あなた→「私はとくに馬鹿という程でもなく、人並みの努力もしてきました。スキルの不足は、会社の教育システムの不備が原因ではないかと思います」

上司→「君には、日頃から勉強するように話しておいただろう。」

あなた→「もちろん努力はしましたが、就業時間外に勉強するのには限度があります。家庭には家庭の用事もあります」

上司→「就業規則にも『教育や指導にも関わらず改善の見られないものは解雇』と書いてあるだろう。自分の責任は自分で取らないとな!」

あなた→「どうしても解雇すると仰るのであれば、お世話になっている先生に相談して見ます。先生の方から、会社が私に行った教育の内容等について質問があると思いますが、そのときはよろしくお願いします」



・普通解雇2

会社は辞めさせたい社員を、わざと過酷な就業環境に置いて、精神的にダメージを与え、それによる業務の失敗あるいは、非効率を理由に退職を迫る場合があります。

上司→「今回の君の仕事の遅れは非常に大きな問題だ。辞めてもらうしかない。」

あなた→「私の心身が健康であればこのような遅れは生じませんでした。私は、分野外の業務への配属、遠方への勤務、無意味な作業の繰り返し、パワーハラスメント、過度の残業、職場の人間関係等によって心を病んでいて、仕事の遅れはこれが原因です。これが診断書です。ですから、今回の仕事の遅れは止むを得ません。
私には、この病気の原因が職場にあるように思えてなりません。職場の環境を改善していただけませんか。どうしても改善して頂けないと仰るのでしたら、お世話になっている先生に相談してみようと思います」

仕事で大きなミスがあっても、それが仕事を原因として発症した病気が原因であれば、責任はあなたにありません。
やる気が出ない、うっかりミスをする、夜眠れず疲れやすい、食欲が出ない、不安になる、消えてなくなりたい、等の憂鬱な気持ちが生じ、仕事が捗らないときは、就業環境の悪化を原因とした「うつ病」である可能性があります。「うつ」は「心の風邪」ともいわれるほど、よく起こる病気です。
専門医を受診して、症状と会社の過酷な環境を説明し、一週間程自宅療養をしたいと申し出て「うつ」の診断書を書いてもらいましょう。
上司の暴言、中傷のメール、職場の環境、人間関係、残業時間、感じた気持ち等を、記録として残しておくと、(もちろん会話は録音)「業務上の疾病」と判断されて労災が認められる可能性が高くなり、病気を原因に解雇できなくなります。


・普通解雇3(残念ながら辞めざるを得ないとき)

色々と調べた結果、本当に会社の経営状態が悪い、あるいは、あなたが悪い、という場合は、辞めることになります。会社は、自己都合退職(退職願を提出する)を奨めてきます。しかし、自己都合退職「離職区分:4D」は失業給付に受給制限があります。ですから、会社都合解雇「離職区分:1A」にするよう申し出ます。
また、離職理由が解雇「1A」だというのは再就職にさほど影響しません。だまされないで下さい。また、ここまで来れば「辞める」のですから、攻撃的な発言もOKです。

上司→「君の業務能力の低さは、適正の無さにあるし、会社が十分な教育をしたことは解っただろう。「解雇」となると再就職しにくいから、「自己都合退職」にしてあげよう。この「退職願」に「自己都合」と書いてサインしてください。

あなた→「仰る通り、業務推進能力の不足は私の適性の不足にあり、会社は十分な教育をしていることも解りました。しかし、自ら退職する意思はありませんので、退職願は書きません。離職区分1Aの「解雇」としてください。また、懲戒解雇や諭旨解雇ではありませんので、「5E」としないでください。「1A」とされていなかった場合は、後日、ハローワークから異議申し立てを致します」



職安に提出される離職票の離職理由区分票
失業保険の給付制限のないもの(番号が1〜3のもの)
1シリーズ:会社都合の解雇
1A解雇(1B,5E以外)
いわゆる「会社都合」
1B止む無い解雇
いわゆる「会社都合」
2シリーズ:当初より予定の期間が来て退職
2B契約期間満了や定年退職
3シリーズ:正当な理由の自己都合退職
3A事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職
希望退職に応募した場合等
退職願を書かされた場合は事由として「希望退職に応募したため:離職票番号3A」と書く
3B事業所移転等に伴う正当理由のある自己都合退職
会社が移転して通えなくなった場合等
退職願いを書かされた場合は「会社移転のため通勤で不可となったため:離職票番号3B」と書く
3C3A,3B以外の正当な理由の在る自己都合退職
失業保険に給付制限のあるもの(番号が4〜5のもの)
4シリーズ:正当な理由によらない自己都合退職
「一身上の都合による」退職はこれになる!
4D正当な理由のない自己都合退職
普通に「一身上の理由により」と退職願を書くとこれにされてしまう。
失業給付の受給制限がある!だから退職願いを書いてはだめ。
5シリーズ:懲戒解雇
5E被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇
犯罪を犯したり、2週間に渡って無断欠勤した等の場合等。通常ありえない。



・セクハラ

上司→「寿退職の予定は無いのかな?」

あなた→「セクハラは止めてください。」



・退職強要

上司から退職を長時間に渡って奨められた(30分を越えた)

あなた→「気の滅入るような話が長く続いたので、憂鬱になってきました。恐れ入りますが、切り上げて頂けますでしょうか。」



・配転

上司→「君を遠方の職場に配属することになった。困るなら辞めてくれ。」

あなた→「高齢の母の世話をしていますので、やむを得ず従うことができません。また、退職する気持ちはありません。」

配転を正当な理由なく拒否した場合は懲戒解雇とする就業規則を 決めている会社が多い(業務命令不履行)です。ですから、やむを得ぬ理由を言います。 それでも、無理やり配転されたら、一旦は、おとなしく配転されておきます。その上で、専門家に相談して配転の不当性を争います。


・出向と転籍

上司→「君には子会社の○○商事に転籍/出向してもらいたい。いやなら辞めてくれ」

あなた→「高齢の父の面倒を見ており、今の家を離れられません。退職する気持ちもありません。

この会話は必ず録音しておきます。あなたが同意していないのに、会社が勝手に同意したことににて、出向/転籍させてしまうことがあります。どうしても録音できなかった場合は、出向/転籍できない旨を内容証明郵便で会社に送ります。
出向と転籍には本人の同意が必要(民法625条)ですが、一応止むを得ない理由を考えておきます。(会社分割制度による転籍では本人の同意が不要となったため) それでも、無理やり転籍/出向されたら、おとなしく言うことを聞いて一旦は出向/転籍しておきます。その上で、専門家に相談して転籍/出向の不当性を争います。


・いやがらせ退職

過大なノルマを与える、一日中草むしりをさせる、小部屋で一人仕事させる、帰り際に仕事を言いつける、書類を何度も手直しさせる、仕事を与えない、口をきかない、意味の無い仕事をさせる、ありもしない罪を着せて左遷する、等の嫌がらせをおこない、精神的にダメージを与えて退職に追い込みます。

これに対しては、長期戦で望みます。とにかく状況を細かく録音+メモします。メールや関連書類も印刷またはコピーして自分の鞄等、安全な場所に保管しておきます。(会社の引き出しの書類は合鍵で持ち出されますし、会社のPCに保管しているメールは都合が悪くなるとある日突然削除されます、ご注意を!)過去の分については、思い出して記録しましょう。また、ダメージによって不眠やうつ病が生じたら、即座に診察を受け、診断書を貰っておきます。また、なぜ自分をいじめるのか上司に抗議し、その会話の様子も録音しておきます。

できるだけいじめがエスカレートした方が違法性を問い易いので、素直にいじめられておいて、記録だけはしっかり取っておきます。そうすれば、いじめも結構耐えられるものです。そして、いじめが最高にエスカレートした時を見計らって、その記録を持って専門家に相談します。くれぐれも記録(録音していること)を悟られないようにしましょう。


・整理解雇

上司→「会社の経営が危機的状態なので、申し訳ないが、きみを整理解雇しなくてはならない。これは、法律でも認められているんだ。すまないね。」

あなた→「整理解雇は次の4つの要件を満たさなければ実施できません。我社はその全てを満たしていないと思いますので、おっしゃるような整理解雇は実施できないと思います。一つずつ確認していきましょう。」

要件1.【人員整理の必要性】

あなた→「整理解雇するには「企業が客観的に高度の経営危機下にある」必要があるそうです。私のような一従業員では、本当にそうなのか見分けることができません。どうしても整理解雇されるというのであれば、私では判断できませんので、専門家に相談して調べてもらおうと思います。」

上司→「それは秘密だから調べられないよ」

あなた→「私が調べた範囲では、専門家であれば、色々な方法を使って調べることが出来るようです」

上司→「そんなことをしたら、ただではすまないぞ。」

あなた→「脅すような話し方は止めて、冷静に話しましょう。私は会社と良い関係を保ち、これからも長く働き続けたいと考えています」
悪質な会社の中には二重帳簿を作っていたり、トンネル会社を使って利益を逃がすなどの操作をしている場合があり、事実通りの財務諸表の提出ができない場合があります。よく調べると、かなりのお金が社内に留保されていて、整理解雇しなくても会社が存続できる場合も多いのです。

上司→「それは秘密だから調べられないよ」
あなた→「私が調べた範囲では、専門家であれば、色々な方法を使って調べることが出来るそうです」
や、
あなた→「脅すような話し方は止めて、冷静に話しましょう」

あなた→「私は会社と良い関係を保ち、これからも長く働き続けたいと考えています」
は基本パターンです。色々応用して下さい。もちろん、会話は録音しておき「そんなことをしたら、ただではすまないぞ、と恫喝された」とメモしておきます。対応は穏便に行いつつも、証拠は確実に取り、恫喝等の相手の落ち度はしっかりと記録しておきます。
要件2.【解雇回避努力義務の履行】

あなた→「役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等を行ったとの事ですが、それが十分な努力なのかどうか、私には分かりません。どうしても、整理解雇すると仰るのであれば、私自身納得が行かないのので、専門家に相談して、調べてもらいます」

上司→「それは秘密だから調べられないよ」

あなた→「私が調べた範囲では、専門家であれば、色々な方法を使って調べることが出来るそうです」

要件3.【被解雇者選定の合理性】

あなた→「私は一生懸命働いてきたつもりで、どうして解雇の対象者に選ばれてしまったのか分かりません。私が選ばれた理由を書面で頂けますでしょうか。専門家に相談してみます」

要件4.【手続の妥当性】

「「説明」「協議」「納得」等の手続きが不十分なように思います。どうしても整理解雇すると仰るのであれば、手続きに妥当性があるか専門家に調べてもらおうと思います」

整理解雇が本当に正当なものなら、ちゃんと書面が出てくるでしょう。専門家に見てもらい「これは仕方無いですよ」と言うことであれば、解雇されるよりほかに仕方ありません。しかしこのとき、「退職願」を書いてはいけません。自己都合退職となって、失業給付に給付制限が発生します。あくまでも「会社都合の解雇」にしてもらいます。
しかし、多くの場合、まっとうな書面は提出されず、あなたの整理解雇はうやむやになる可能性が高いです。

どうしても「整理解雇する」と会社が言うなら、専門家に相談します。専門家を通じて会社に必要な書面を提出するようお願いします。ここまでくると、あなた個人からお願いしても、会社は無視する場合が多いです。


・専門家に相談する

お手軽な相談としては、労働基準監督署の「個別労働紛争解決制度」の相談窓口があります。無料ですが、お役所ですから比較的のんびりです。まず、このあたりから攻めて行きます。この段階であなたの解雇を諦める会社も多いです。

それでもダメなら、弁護士に相談します。ただし、弁護士さんにもそれぞれ個性があり、一緒に戦ってくれるタイプ、素っ気無いタイプ、金になるときだけ頑張るタイプ、など様々です。実績のある弁護士さんを知り合いに紹介してもらうのが一番です。
残念ながらそんな「つて」が無い場合は、地域の弁護士会に予約してから相談に行きます。弁護士会に予約すると、その問題に(比較的)適した弁護士さんを選んでくれます。Webで弁護士会の相談窓口を調べてください。30分の相談で5000円程度です。相談する項目を箇条書きにまとめておくと、30分で十分相談できます。先ずは、弁護士から会社へ資料請求の書状が届くだけでかなり効き目があり、その段階であなたの解雇を諦める可能性もあります。
できれば、この段階までで、解決したいものです。と、言うのも、あまり会社と激しい争いになると、以後の就労になにかと差し障るからです。そのような原因で労働者を差別してはいけないことにはってはいるのですが、それがあまり守られていません。
とはいえ、会社も「弁護士が後ろに付いている」となると、あまり無茶はできません。これも、弁護士さんのありがたいところです。(その分金が掛かるのが欠点だが、クビよりマシ)
そして、どうしても会社が譲らず、勝ち目があれば裁判にしますが、暇が掛かるという欠点があります。

個人で加入できる労働組合も沢山ありますので、そこに相談することもできます。しかし、組合毎にかなり個性が違いますし、人によって「合う」「合わない」が激しいという問題があります。あまりにも「合い」すぎて、活動はまり込んでしまうと本来の趣旨がどこかに行ってしまいますし、合わないと、活動がつらいです。ちょうど良い距離で付き合える組合が良いのですが、こればかりは運なので、リスクがあります。

なお、裁判になって、整理解雇で会社が勝った例は少ないと聞きます。但し、1年、2年と掛かる場合があるそうです。



・おだてる

上司→「君は能力があるから再就職が可能だろう。もっといい会社に入れると思うよ。そろそろ経験も十分だし、転職してはどうかな」

あなた→「ハローワークの検索で調べてみましたが、現在以上の職はありませんでした。退職する気持ちはありません」



・脅す

上司→「会社は大変なんだ、君が辞めないと、部門が赤字になり、来期には、部門全体が無くなって、君の同僚まで全員解雇されてしまうんだよ」

あなた→「クビになったら私はもっと大変です。家族全員が路頭に迷います!」



・しつこく話す

退職の意思が無いと伝えているのに、しつこく上司の話が続いたら

あなたは、何も話さず、黙ってじっと話が終わるのを待ちます。話が終わったら「退職する気持ちはありません」と告げて面談を終えます。



・それでも、また呼び出して、しつこく話す

「退職する気持ちがないので、こういったご提案は必要ありません。退職を無理強いされているようにさえ感じます。これ以上繰り返されますと、心理的にきついので、お世話になっている先生に相談しようと思います」と告げて面談を終えます。



●希望退職って得なの?



有利な希望退職制度が実施されても(有利な再就職先が既に決まっている等)あなたに特別な事情がない限り、応募すべきではありません。(と、私は思います)

通常の不況であれば、業績の悪くなった会社を好条件(割増退職金等)で退職し、業績の良い会社に転職することができました。しかし、今回の不況は全ての業界に及んでいます。ですから、退職すると再就職が非常に困難です。後悔する可能性が高いです。



●退職勧奨面談(「会社をやめてくれませんか」と頼む上司との話し合い)の受け方



・録音の準備をします

上司から呼び出されており、退職を奨められそうな雰囲気であったら、上司との会話を録音する準備を始めましょう。(メモよりも効果があり、手間も掛かりません)

多くの場合上司は法律に反した発言をします。しかし、後で「そんな発言はしていない」と言われてしまいます。残念ながら証拠がありません。証拠があれば、あなたの解雇を無効にする等、有利な結果が得られる場合があります。

MP3プレーヤや携帯電話にはボイスレコーダーの機能がありますから、ポケットに忍ばして録音します。

但し、必ず事前に録音のテストをしておいてください。例えば、携帯電はは途中でメールが着信して録音が止まったり、MP3プレーヤーでも、メモリー不足や電池切れで会話が全部記録できなかったりします。3〜4時間は連続して録音できること、自分の声だけでなく、相手の声も録れていることも確認しておきます。

録音したデータをPC等に保存して再生出来ることも事前に確認しましょう。大事な証拠になる場合がありますので、何箇所にも保存しておきます。機械が故障しても良いように、2つ同時に動作させて録音するくらいの慎重さが必要です。もちろん電池はフル充電です。

録音開始や停止の操作はトイレ等で行い、ポケットに装置を忍ばせて、録音します。「録音してはだめだ」と証拠を残すことを禁止される場合があるからです。



・録音が準備できなかったら

書面での通知を求めます、あるいは、メモを取ります。

最初は、世間話から始まると思いますので、話が次の例のように、退職に関係する話になったら…

上司→「ところで、今回の不況で我社も深刻な影響を受けている、そこでだ…」

(1)書面を求めるとき
あなた→「恐れ入りますが、雇用に関連するお話は重要ですので、口頭ではなく、書面で頂戴できますでしょうか」

(2)メモを取るとき
あなた→「メモを取りますので、しばらくお待ちください」

(メモを取る、メモの最初には日付、時間、場所、相手、記録者を書きます。『20××年×月×日、××時××分、○○課長からのお話、記録者○○○○』)

あなた→「ではメモを復唱します、『ところで、今回の不況で我社も深刻な影響を受けている、そこでだ…』で間違いありませんね。」

このようなやりとりを繰り返して、上司の話を全てメモします。漢字を忘れた部分はひらがなでも、下手な字でも、読めればかまいません。メモに時間が掛ってもかまいません。



・メモを禁止された

メモを取るな!と言われたら、その段階で上司との面談を終えます。

上司→「秘密事項だから、メモを取ってもらっては困るよ」

あなた→「それでは、秘密でない内容だけをお話しください」

上司→「それは無理だよ」

あなた→「申し訳ありませんが、そのような形で、雇用に関係するお話を頂戴することはできません。」

但し、上司との面談の最後には礼は尽くしましょう。とはいえ、不当な扱いには厳正に対応することを伝えましょう。

あなた→「失礼な言葉遣いもあり、その点は申し訳ないと思っております。しかし、今回の面談が原因となって私に不当な扱いが行われないようにご配慮をお願いします。不当な扱いがみられた場合は、労基署等に相談させて頂きます。退職の意思はありません」



・優遇措置があると聞かされた

上司→今なら、6か月分の給与を退職金に上乗せするという会社としては最大限の支援を行ってます。これを利用して、社外に新しい活躍の場を見つけられてはいかがでしょうか。

あなた→多少有利な条件を提示頂いても、退職する意思に変化はありません。



・考えを聞かれた

上司→(色々と話をした後)ところで貴方のお考えは如何ですか。

あなた→冷静に判断した結果、この会社に留まるのが最適と考えました。退職する意思はありません。



・自分の働く場が無いと言われた

上司→貴方のスキルを配慮した結果、貴方のスキルとキャリアに合う職場を社内に見つけることができません。そのような状況の中でご自分の未来について前向きに考えてどう思われますか。

あなた→会社が私の価値を認めて採用した以上、会社が一層の創意工夫を行えば、私の職場を社内に作り出すことが可能だと考えています。雇用の維持は企業の社会的責任です。退職する意思はありません。



・再就職を世話すると言われた

上司→再就職には不安があるでしょう。ですから、あなたの新しい活躍先については専門のコンサルティング会社が安心して新しい活躍の場を探せるようにカウンセリングさせて頂きます。

あなた→今の職場に留まることが最善だと考えており、退職の意思はありません。カウンセリングの必要はありません。



・もう一度話したいといわれた

上司→では、3日後にもう一度お話させて頂きたいと思います。貴方の将来についてよく考えておいてください。

あなた→失礼ですが、このようなご提案はもう必要ありません。お話の方法こそソフトですが、内容は退職強要です。繰り返さないでください。退職する意思はありません。



・突然書面を渡され、署名(サイン)を求められた

もちろん署名(捺印)してはなりません。

事務処理の書面と偽って、自己都合の退職願に署名させられ、本来は会社都合である退職を自己都合にされた事例さえあります。

まず、(1)書面の内容について詳しく説明してもらい、(2)その場では絶対に署名せず、(3)持ち帰って熟慮します。場合によっては(4)専門家に相談します。例えば次のような感じです。

上司→「ほんとうに申し訳無いね、会社都合の退職にしてあげるけれど、事務処理上、この退職願いにサインしてくれるかな」

あなた→「この書面の内容について詳しく説明して頂けますか」

上司→(色々としゃべる)

あなた→「申し訳ありませんが、今すぐには判断できません、この書面を持ち帰り、家族とも相談した上で判断したいと思います」



・書面の持ち帰りを拒否された
・その場での署名を強制された

もちろん、隅々まで読まずに書類にサインしてはいけません。

上司→「この書面は、社外秘だから、渡すことはできないよ。いまここで、サインしてくれないと困るね」

あなた→「どのような書面であれ、じっくり検討せずに署名することはできません。持ち帰って家族と検討させてください。」



●その他の退職強要



  1. 教育と称して退職したくなるようね研修を行う
  2. 通常では達せられないノルマや仕事量を課して追い詰める
  3. 全く仕事を与えないで放置し、心理的に追い詰める
  4. 1人小部屋で勤務させ、孤立させて心理的に追い詰める
  5. 得意分野とまるで関係ない業務を命じる
など、すべて違法な退職の強要です。労基署に相談しましょう。



●まとめ



項目対応
録音 ヤバイと感じた日から終日の会話を録音、日付毎に全部保存
希望退職 有利な再就職先が既に決定している場合以外は応募しない
退職勧奨 はっきり退職の意思は無いと伝える
退職願 決して書かない
整理解雇 四要件の成立根拠を書面で提出してもらい専門家に相談
専門家先ず、労働基準監督署(無料)、次に弁護士(有料)、個人加入組合(組合費やイベントへの動員あり)は人によって好き嫌いがあるので相談は問題ないが、加入は良く見極めてから
書面が出ない 専門家に提出要求の文書を出してもらう
退職強要 証拠(録音・写真・文書)を集めて専門家に相談
うつ症状 専門医の診察を受け「うつ」の診断書をもらう
配転転勤 やむを得ぬ理由を用意して断る
出勤転籍 断る(場合によってはやむを得ぬ理由が必要)
懲戒解雇 懲戒の根拠を書面で提出してもらい専門家に相談
解雇 会社都合(離職区分1A)を指定。異なれば職安で異議申し立て



●もっと詳しく知ろう



wikipedeaで
  1. 退職
  2. 解雇
  3. 整理解雇
  4. 退職強要
  5. 不当解雇
  6. 労働基準監督署
等をしらべると、もっと詳しく解ります。


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